新型コロナウイルスの第3波が来ました。皆さんが注意すれば近いうちにまた落ち着いてくるかと思いますが、今後も繰り返し増加の波は来るでしょう。それを最小限に食い止めるための対応について、私なりの考えをお話しします。
①マスクは偉大なり
私も実際にコロナの患者さんを複数(確定した人で10人くらい、怪しい人ならたくさん)診療していますが、私は濃厚接触者にはなりません。患者さんと医師がともにマスクをしていれば、濃厚接触には当たらないからです。特別なマスクである必要もありません。それほどマスクの効果は高いということです。
②マスクは誰のため
では、一方だけがマスクを着けていた場合はどうでしょう。
コロナではない人だけがマスクを着けていた場合、残念ながら感染を防ぐことはほとんどできません。一方で、コロナウイルスを持っている人だけがマスクを着けていた場合は、両方が着けている場合には及ばないものの、かなりの感染防止効果があります。
つまりマスクは、「うつらない為」ではなく「うつさない為」に着ける意味合いが大きいのです。
③症状がなければマスクは不要?
では、「自分がかかっていなければマスクは要らないではないか」となりますが、残念ながらそう簡単ではありません。
コロナは、症状がでる2日以上前から感染力を持っています。潜伏期間というやつです。
つまり、今は症状がなくて元気な貴方も私も、すでに他人にうつす存在であるかもしれないのです。そして、コロナは症状に非常に幅があるので、ほとんど症状がないまま治ってしまう可能性もあります。自分に全く身に覚えがなくても、もしかするとうつしてしまうかもしれないのです。
コロナウイルスか現状のように蔓延している状況では、すべての人が「自分が知らず知らず誰かにうつすかもしれない」と考えないといけません。従って、全員がマスク着用必要者だということになります。
④でも、みんなマスクしてるよね
電車の中でもスーパーやコンビニでも、マスクを着けていない人をほとんど見かけません。では、なぜ広がるのでしょう? それは、マスクを外して会話する時間があるからです。
会食の時、そして自宅内です。「会食と家庭内での感染が増えている」と耳にしていると思います。まさにソレ。
マスクをしていなくても、唾(強い息)を飛ばさなければ、そして唾が届かなければうつりません(ソーシャルディスタンスです)。だから一人黙って食事をする分には問題ないし、複数であっても話さなければ問題ないわけです。4人までならよくて5人以上はダメとか、1時間ならよくてそれ以上はダメとかではなく、唾を飛ばさず、唾にかからず食事ができるかが問題です。唾を飛ばしそうならマスクをしましょう。目の前の人の声が大きくなって来たら、マスクを着けてこっそり椅子を引きましょう。ランチは別々に食べるのが得策だと思います。少なくとも向かい合わないことです。
ただ、家の中でもずっとマスクというのはなかなか難しいですね。なので、最低限、何らかの症状がある人や会食してきた人はマスクを着けて、なるべく距離を取るようにしましょう。
⑤検温で熱がないから平気?
この考えも感染が増える原因です。
多くの施設で入場時に検温をしていますが、37℃なければOKとなっています。多くの職場でもそうでしょう。ですが残念ながら、熱がないからコロナにかかっていないとは言えません。
コロナの厄介なところは、先にも書きましたが、症状に非常に幅があるということです。全く症状のない人から、集中治療が必要になったり亡くなってしまったりする人までいます。そして全く症状のない人でもうつす可能性があり、誰からうつっても重症になってしまうかもしれないのです。
普通の風邪なら重症化はしないので、うつしたところで問題はありません。インフルエンザではたくさん亡くなる人がいるではないかという議論がありますが、インフルエンザで起こる肺炎は主に細菌感染の合併で起こるのに対し、コロナはウイルスが直接肺炎を起こし、人の免疫機構を攪乱するという点でかなり特殊です。治療法やワクチンが確立されていない現段階では、やはり感染を防がないとなりません。
話が少し逸れました。
症状に幅があるので、ちょっと喉がイガイガするとか鼻水が出るとか、何だかいつもと違うけれど動けるみたいな人だって、コロナの可能性があるのです。熱がないから会社に行っていいわけではありません。熱がなくてもランチの時にうつします。その日飲み会に行ったらうつします。
そしてコロナの感染力は、症状が出てから5日くらいは続きます。ですから、軽くても何らかの症状があったら5日くらいは自粛することが大事です。さすがに症状が良くなっているのに休めないというなら(そういう人がほとんどだと思います)、その間はランチは一人で食べる、飲み会はキャンセルするようにして下さい。
⑥みんなで地道に
どんな対策を打とうが、ウイルスが消えてなくなるわけでも優しいウイルスに変わるわけでもありません。みんなで地道に予防していくしかないのです。
基本は「絶対にうつさない」です。自分がかかった風邪は、治ってしまえば原因ウイルスがコロナであろうがなかろうが関係ありません。しかし自分がうつした風邪がコロナであってはならぬのです。その考えを基に、社会生活をより今までに近いレベルに戻していかないといけません。
ダイエットに例えましょう。
緊急事態宣言やロックダウン、ステイホームは、1カ月で5kg痩せましょうみたいな短期集中ダイエットです。目標が達成出来たら満足して、2カ月後には3kg戻ることになりかねません。そうではなくて、1年で5kg痩せるダイエットをしないといけません。1日あたり約15g ずつ毎日減らしていけばいいのです。
コロナ対策で言えば、それは、マスクをしっかりする、会食はなるべく制限して、少しでも具合が悪ければ籠るなどであり、それをずっと続けることです。
生活習慣を変えないとメタボはいつまでたっても解消できません。コロナを制御するためにも「生活習慣」を変えて臨ままなければいけないのです。
旅行も帰省も行きたければ行けばいいと思います。問題は、現地でどのように行動するかです。今回は一人旅と洒落込んでみようとか、今回だけは夕食はホテルの部屋で食べようとか、人気のスウィーツはテイクアウトで近くの公園で食べようとか。実家でもマスクを着けて過ごし、旧友と会うのは来年にしようとか。
少しずつの我慢と工夫をしながら、旅行も帰省もすればいいのだと思います。