メタボリック症候群などの生活習慣病では、体重の管理が重要です。
確かに体重のコントロールがすぐに血圧や血液検査データが改善するわけではなく、目に見えた効果は5%以上の体重減少(70kgの人なら3.5kg)が必要と言われており、10%の体重減少が得られれば、血圧などはかなりコントロールが良くなる可能性があります。
ただ逆に、肥満やデータ異常のある人で体重が増えた場合、たとえ数値の悪化がなくても体内の環境は悪化していると考えられます。まずは体重を増やさないことが最低条件です。
「夏に水着を着るため」とか「格好良く見せたい」という理由でダイエットをするのと違い、病気がらみで体重を落とす必要がある人の体重コントロールは、それ自体が「治療」の一つです。
目的は寿命もしくは健康寿命の増進にあるので、一時的に体重減少を達成してもそれは残念ながらゴールではありません。血圧やコレステロールの薬を飲み続ける必要があるのと同じく、体重もコントロールし続けないといけないのです。
減量が難しいのは、目標設定に数値的にも時間的にも無理があることに原因があります。1か月で3kgとか、2か月で5kgとかを目標に掲げる人がいますが、これは厳しいと言わざるを得ません。
頑張って達成できるかもしれませんが、その体重を維持することは甚だ困難だからです。やがて気が抜けリバウンド…。リバウンドしてしまったら寿命は延びませんから、その努力は全くの無駄になってしまいます。
ではどうすれば無理なく体重管理が続けられるのでしょうか。私が皆さんに提案している方法をお話しします。
体重を減らそうと誓ったら、まずはデジタル表示の体重計を用意しましょう。小数点以下2桁まで表示されるのが理想ですが、1桁でもいいと思います。
そして毎朝必ずその体重計に乗ります。条件をなるべく整えたいので、朝起きたら排尿を済ませ膀胱を空にして、できる限り同じ服装で測りましょう(裸が一番いいです)。体重は小数点以下までしっかり記憶(なるべく記録)します。
翌日、同じように体重を測り比較します。昨日より増えていなければOKです。逆にたとえ10gでも増えていたら、その増加分は今日のうちに戻してください。方法はお任せです。いつもより多く動くでもいいし、思い切って昼食を抜くでもいいでしょう。とにかく戻してください。こうすれば少なくとも体重が持続的に増えることはありません。
なるべく条件を整えたいのは10g、100g単位の勝負だからです。増えていたら言い訳は一切なし。その数字を現実として受け止め、今日を過ごしてください。意識することが大事なのです。意識をしてこなかったことが今の体重をもたらしたのですから。
では体重はどの様なペースで減ればいいでしょうか。
先ほど「10g、100g単位の勝負だ」と言いました。もし1日10gずつ体重を減らしたとすると、1年365日ですから、1年続ければ3650g = 3.65kg減らせることになります。これで70kgの人の5%減量目標は達成です。このペースで十分。10日で100g、1か月で300g、3か月で900g 減っていれば順調です。1日10gなら何とかなる気がしませんか?
逆に言えば、100gの体重増加は10日分、その生活を1年続けると3.65kg増えてしまうのです。ちょっとした体重への意識が大きな結果をもたらすということです。
体重を管理する、ここにも「継続は力なり」が当てはまるのです。