医師として勤務を始めて1年4か月の27歳の秋口、洗髪中に左腰背部に痛みが走りました。駆け出しの内科医でもわかる典型的な「ぎっくり腰」です。
 原因は明らかでした。食生活の怠慢と運動不足により、その1年4か月で6kgも体重が増えていたのです。大学時代の6年間軟式テニスを部活動とし、それなりに体力には自信があっただけにショックでした。と同時に、人はしっかり自分の身体を見つめ管理しないと短時間で壊れてしまうものだ、ということを実感しました。
 さて、どうしようか。テニスをしようにも一人では無理だし、時間も取れない。とりあえず走るしかないか。そして走り始めました。

 目標がないと続かなさそうなので、4か月先のマラソン大会・10kmの部にエントリーして練習開始。駆け出しの医者は、今とは比べ物にならないほど忙しかったのですが、雨の日と飲んで帰った日以外はどんなに遅くなっても走ると決めました。夜中の12時過ぎに走ることもしばしばありましたが、当時は長距離を走る力はないので、時間にするとせいぜい15分くらい。気持ちさえあれば何とかなりました。

 1992年2月、初めてのランニング大会で10 kmを完走。その達成感とハーフマラソンの部の人たちの眩しさが、その後も走り続ける原動力になりました。当時は今のように走っている人は多くありませんでしたから、彼らはレベルが高くて本当に輝いて見えたのです。

 以後27年間、東京マラソン3回をはじめ30回のフルマラソン、43回のハーフマラソンなどに参加しています。60kmの大会にも6回出ています。(いずれ100kmもと思っていますが、ちょっと厳しそう)
私はランナーとしては全く大したことはありません。追い込んだ練習もしないし、最近は筋トレもしません。食事制限もしていません。なので記録は高く見積もっても「中の上」程度です。

ただ、27年間故障らしいものはなく毎年必ず何らかの大会に出場し続けていること、スタートラインにたった100回以上のレースですべて時間内完走していること、この2点については自慢できます。
 増えた体重は程なく元に戻り、今も大きくは変わりません。その後ほとんど腰痛が出ることもなく、膝の痛みなどもありません。
 何事も「継続は力なり」、これに尽きると思います。
2019.6.14

2019年5月 柴又100kmにて